
「上司や取引先にやり方を尋ねたいけれど、『ご教示ください』で合っているだろうか?」
「『ご教示』と『ご教授』、どちらを使うのがビジネスマナーとして適切?」
「メールで何度も『ご教示ください』を使うと、しつこい印象を与えないか?」
ビジネスシーンで相手に教えを請う際、最も頻繁に使われる敬語表現の一つが「ご教示(ごきょうじ)ください」です。しかし、似た言葉である「ご教授(ごきょうじゅ)」との使い分けや、相手との関係性に応じた適切なバリエーションを理解していないと、知らず知らずのうちに相手に違和感を与えてしまうことがあります。
本記事では、「ご教示ください」の正確な意味から、「ご教授」との決定的な違い、そして今日からそのまま使えるビジネスメールのテンプレートまで、コミュニケーション戦略の専門家が徹底解説します。
1. 「ご教示ください」の意味:結論
「ご教示ください」とは、「知識や方法、手順などを教えてほしい」と依頼する際に使われる、非常に丁寧なビジネス表現です。
漢字を分解すると、「教(おしえる)」と「示(しめす)」になります。つまり、「具体的な情報ややり方を、目に見える形で示してほしい」というニュアンスが含まれます。ビジネスにおける事務的な手続き、スケジュール、操作方法などを尋ねる場面で最も適した言葉です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「ご教示ください」は、「その場ですぐに答えられる情報」を求める際に使いましょう。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちですが、「教示」はあくまで情報の伝達を指すからです。一方で、より謙虚に、あるいは相手に配慮して依頼したい場合は、「ご教示いただけますでしょうか」や「ご教示いただければ幸いです」といった、相手に選択権を委ねる「依頼の形」に変換するのが、デキるビジネスパーソンのマナーです。この知見が、あなたの円滑なコミュニケーションの助けになれば幸いです。
2. 「ご教示」と「ご教授」の決定的な違い

最も混同されやすい「ご教授(ごきょうじゅ)」との違いを、対象となる「教える内容」の性質で整理します。
「ご教示」と「ご教授」の使い分けガイド
| 比較項目 | ご教示(ごきょうじ) | ご教授(ごきょうじゅ) |
|---|---|---|
| 教える内容 | 情報、手順、方法、予定 | 学問、芸術、技能、専門知識 |
| 時間の長さ | その場限り、短期的 | 長期的、継続的 |
| ビジネスシーン | 事務的な連絡、確認、相談 | 専門家への師事、長年の指導 |
| 具体例 | 「会議の日程をご教示ください」 | 「長年培われた経営哲学をご教授ください」 |
「ビジネスメールの9割は『ご教示』で解決します。専門的な技術や学問を長期間にわたって学びたい場合を除き、『ご教授』を使う必要はありません。」
3. そのまま使える!「ご教示ください」のビジネスメール例文
シチュエーション別に、相手に失礼のない洗練された例文を紹介します。
① スケジュールや日程を確認する場合
「お忙しいところ恐縮ですが、次回の定例会議の開催場所についてご教示いただけますでしょうか。」
② 手順や操作方法を尋ねる場合
「新システムのログイン方法が不明なため、お手数ですが操作手順をご教示ください。」
③ 意見やアドバイスを求める場合
「本プロジェクトの進め方について、部長のご見解をご教示賜りたく存じます。」
4. 「ご教示ください」の言い換え表現とバリエーション
同じ言葉の多用を避けたい場合や、より状況にフィットさせたい場合は、以下の表現を使い分けましょう。
- 「お教えください」: 最も一般的で分かりやすい表現。社内や親しい間柄で使います。
- 「ご指導ください」: 単なる情報だけでなく、自分の成長のための導きを求める際に使います。
- 「ご教示賜りますようお願い申し上げます」: 取引先や役員など、非常に敬意を払うべき相手に対して使います。
- 「ご教示いただければ幸いです」: 相手に「もし可能であれば」というニュアンスを伝え、負担を軽減させる柔らかい表現です。
5. まとめ:言葉の使い分けが「信頼」を生む
「ご教示ください」という言葉を正しく使いこなせるようになると、あなたのメールや発言に「知的な品格」と「相手への敬意」が宿ります。
- 事務的な情報や手順を尋ねるなら「ご教示」。
- 学問や長年の技能を請うなら「ご教授」。
- 相手との距離感に合わせて「〜いただけますでしょうか」と語尾を整える。
この3点を意識するだけで、相手は「この人はマナーをわきまえている」と安心し、あなたの依頼に対して快く応じてくれるようになるはずです。ぜひ、次回のメールから自信を持って「ご教示」を使ってみてください。
[著者プロフィール]
名前: 織田 裕二(おだ ゆうじ)
肩書き: ビジネスコミュニケーション・アドバイザー / 文筆家
専門領域: 現代ビジネス日本語、論理的文章術、エグゼクティブ・マナー
主な実績: 大手企業の広報・秘書を経て独立。ビジネス語彙に関するセミナーを年間50回以上開催。著書に『その一言で評価が変わる!大人の語彙力』がある。
[参考文献リスト]
- 文化庁 - 敬語の指針
- 『広辞苑 第七版』 (岩波書店)
- 『新明解国語辞典 第八版』 (三省堂)













