
SNSが生活の一部となった現代で、「ネトスト」という言葉を耳にする機会が増えました。「気になってチェックする」程度の行為から、相手の私生活を脅かす深刻な犯罪に発展するケースまで、その境界線は曖昧です。
執拗に行えば「ストーカー規制法」の対象となる可能性があります。この記事ではネトストの定義・加害者の心理・法的リスク・被害を防ぐ対策をまとめます。
ネトストとは
「ネトスト」は「ネットストーカー(ネットストーキング)」の略です。特定の人物に対してインターネットやSNSを通じて執拗に監視・付きまとい・嫌がらせを行う行為を指します。
かつては掲示板への書き込みやメールの連投が主な手口でしたが、現在はInstagramのストーリー・X(旧Twitter)の投稿・位置情報タグ・フリマアプリの出品物など公開されている断片的な情報を組み合わせて住所や勤務先を特定する手法が主流になっています。
どこからが犯罪?法的な境界線
「相手のプロフィールを毎日見るだけ」なら罪には問われませんが、以下の行為に発展するとストーカー規制法違反や名誉毀損・プライバシー侵害に該当する可能性があります。
| 行為の内容 | 違法性 | 該当する可能性のある罪 |
|---|---|---|
| 公開アカウントを閲覧する | 合法 | 特になし |
| 毎日監視していると告げる | 違法 | ストーカー規制法(監視) |
| 拒否されているのにDMを送り続ける | 違法 | ストーカー規制法(連続メッセージ) |
| 住所や本名を勝手に晒す | 違法 | プライバシー侵害・名誉毀損 |
| 不正ログインする | 違法 | 不正アクセス禁止法 |
2021年の法改正により、SNSでの執拗なメッセージ送信や監視行為も厳格に規制されるようになりました。
加害者の心理
ネトストを行う者の心理は大きく3パターンに分類されます。
支配欲・独占欲:「相手のすべてを知ることで、自分だけが理解者でありたい」という歪んだ感情。
劣等感・復讐心:自分を無視した相手やキラキラした生活を送る相手を引きずり下ろしたいという攻撃性。
ゲーム感覚(特定班):謎解きのように断片的な情報から住所を特定すること自体に快感を覚えるタイプ。加害者は一枚の写真から窓の外の景色・電柱の看板・瞳への映り込みまで分析し、複数のSNSの情報を組み合わせて特定します。
身を守る対策
SNSの公開範囲を見直す
非公開設定(鍵垢)にするのが最も効果的です。面識のないフォロワーや怪しいアカウントはブロック・削除します。
写真から位置情報を漏らさない
- 自宅周辺での撮影を避ける(窓の外の景色・特徴的な建物・電柱の看板は特定のヒントになる)
- 高画質な写真では瞳やガラスに映った景色から場所が特定されることもある
- 「今ここにいる」という情報はリアルタイムで投稿せず時間差をつける
複数のSNSで同じIDを使わない
IDが同じだとX・Instagram・TikTok・フリマアプリなどすべての活動履歴を紐付けられます。
被害に遭ったら取るべき3ステップ
証拠を保存する:DMの内容・投稿へのコメント・足跡の履歴などをスクリーンショットで保存します。URLも控えておきます。
相談する:信頼できる人、または警察の「ストーカー相談窓口(#9110)」に相談します。「これくらいで警察に行くのは」と躊躇せず、早めの相談が重要です。ストーカー規制法は実害が出る前の「つきまとい」の段階で警察が警告を出せます。
法的措置を検討する:実害がある場合は弁護士を通じてプロバイダに「発信者情報開示請求」を行い、相手を特定して慰謝料請求や刑事告訴が可能です。
よくある質問
Q. 「いいね」を遡って押すのもネトストになりますか?
行為自体は違法ではありませんが、過去の投稿に大量・連続でいいねを押す行為は相手に不快感を与えます。明確な接触要求やメッセージが伴う場合はストーカー規制法の対象になり得ます。
Q. フォローしていないアカウントを毎日見に行くのは問題ありますか?
公開アカウントを閲覧すること自体は違法ではありません。ただし、その行為を相手に告げたり監視をほのめかしたりすると規制の対象になる可能性があります。
Q. 自分がネトストされているか確認できますか?
完全に確認することは難しいですが、身に覚えのない情報が第三者に伝わっている・見知らぬアカウントから自分の詳細を知ったようなメッセージが届くといった場合は注意が必要です。
Q. 匿名アカウントからのネトストでも相手を特定できますか?
弁護士を通じた「発信者情報開示請求」によってプロバイダからIPアドレスなどの情報を取得し、相手を特定できるケースがあります。証拠の保存が重要です。
まとめ
- ネトストはSNSを通じた監視・付きまといで、執拗に行えばストーカー規制法の対象になる
- 加害者は断片的な情報を組み合わせて特定を行う。情報の「点と線を結ばせない」ことが防御の基本
- 防御の具体策は「非公開設定」「写真からの位置情報漏れを防ぐ」「SNSで同じIDを使わない」
- 被害を感じたら証拠を保存して「#9110(ストーカー相談窓口)」に早めに相談する







