
「その表現、まさに本質を突いている!」
「複雑な状況を、これ以上ないほど巧みな言葉で例えられた」
「『言い得て妙』という言葉を正しく使って、知的な印象を与えたい」
物事の本質を、ウィット(機知)に富んだ表現で言い表した際に使われる「言い得て妙(いいえてみょう)」。単に「正しい」と言うよりも、相手の表現力の巧みさを称賛するニュアンスが含まれる、非常に奥深い言葉です。
本記事では、「言い得て妙」の正確な意味や語源から、ビジネスシーンで信頼を勝ち取る具体的な例文、さらには「正鵠を射る」といった類語との繊細な使い分けまで、言葉の専門家が徹底解説します。
[著者プロフィール]
名前: 織田 裕二(おだ ゆうじ)
肩書き: ビジネスコミュニケーション・アドバイザー / 文筆家
専門領域: 現代ビジネス日本語、論理的文章術、エグゼクティブ・マナー
主な実績: 大手企業の広報・秘書を経て独立。ビジネス語彙に関するセミナーを年間50回以上開催。著書に『その一言で評価が変わる!大人の語彙力』がある。す。
1. 「言い得て妙」の意味:本質を巧みに突く「納得感」
「言い得て妙」とは、「物事の本質を巧みに言い表していること。また、その表現が非常に優れている様子」を意味します。
この言葉は、「言い得る(うまく言う)」と「妙(巧みである、優れている)」という二つの要素が組み合わさってできています。単に事実を述べるだけでなく、「なるほど、座布団一枚!」と思わせるような、ひねりの効いた表現や比喩に対して使われるのが特徴です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「言い得て妙」は、相手の「表現のセンス」を褒める言葉だと理解しましょう。
なぜなら、この表現には「あなたの例え話は、非常にセンスが良いですね」という評価のニュアンスが含まれているからです。単に内容が正しいだけなら「おっしゃる通りです」で十分ですが、あえて「言い得て妙ですね」と言うことで、相手の知性やユーモアに対する敬意を示すことができます。この知見が、あなたの人間関係をより豊かにする助けになれば幸いです。
2. ビジネス・日常でそのまま使える「言い得て妙」の例文

「言い得て妙」は、会議での発言や、誰かの鋭い指摘に同意する場面で非常に効果的です。
シチュエーション別の活用例
- 会議での鋭い比喩に対して:
「今の『このプロジェクトは、地図のない航海のようなものだ』という表現は、まさに言い得て妙ですね。私たちの不安を的確に表しています。」 - 誰かの性格を言い当てた時:
「彼を『静かなる情熱家』と評したのは、言い得て妙だ。普段は物静かだが、仕事へのこだわりは誰よりも強いからね。」 - 社会現象を巧みに表現した言葉に対して:
「現代のSNSを『透明な監獄』と呼ぶのは、言い得て妙な表現だと言わざるを得ない。」
3. 類語との使い分け:「正鵠を射る」や「言い得て妙」の違い
「言い得て妙」と似た意味を持つ言葉はいくつかありますが、文脈によって最適な言葉は異なります。
「言い得て妙」と類語のニュアンス比較
| 表現 | ニュアンスの違い | 適したシーン |
|---|---|---|
| 言い得て妙 | 「巧みな表現」に重点がある。ウィットや比喩を称賛する。 | 秀逸な例え話、面白い指摘 |
| 正鵠を射る | 「核心を突く」ことに重点がある。論理的に正しい。 | 鋭い分析、本質的な批判 |
| 言い得て妙なり | 「言い得て妙」の文語体。より古風で重厚な響き。 | 文芸批評、格調高い文章 |
| 当を得る | 道理にかなっており、適切である。 | 妥当な判断、適切な処置 |
「言い得て妙」は、論理的な正しさだけでなく、その「言い回しの面白さ」や「センス」に感動した際に使うのが最も適切です。
4. 使用上の注意点:目上の人に使っても大丈夫?
「言い得て妙」を使う際に最も注意すべきなのは、「相手を評価する言葉である」という点です。
- 目上の人には慎重に: 「言い得て妙ですね」という言葉には、聞き手が話し手の表現を「採点」しているような響きがあります。そのため、上司や取引先の担当者に対して使うと、「上から目線で評価された」と不快に思われるリスクがあります。
- 目上の人への言い換え案: 「非常に分かりやすい例えで、感銘を受けました」「まさに、おっしゃる通りだと存じます」
- 「言い得て妙」の誤用に注意:
「言い得て妙」を「単に正しい」という意味だけで使うのは避けましょう。そこには必ず「表現の巧みさ」というスパイスが必要です。
5. まとめ:言葉のセンスを磨き、対話を豊かにする
「言い得て妙」という言葉を正しく使いこなせるようになると、あなたのコミュニケーションに「知的な余裕」が生まれます。
相手の鋭い指摘や面白い例え話に対して、「言い得て妙ですね」と返す。それは、相手の知性を認め、その場の空気を一段階引き上げる高度なコミュニケーション技術です。
ただし、言葉の「鎧」として使うのではなく、相手の表現力に対する純粋な驚きと敬意を込めて使ってみてください。あなたのその一言が、より深い対話を引き出すきっかけになるはずです。
[参考文献リスト]
- 『広辞苑 第七版』 (岩波書店)
- 『新明解国語辞典 第八版』 (三省堂)
- 文化庁 - 言葉のQ&A
- 『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』 吉田裕子 著 (かんき出版)













